■最強の二頭
1999年最後を飾るグランプリ有馬記念
その舞台にたった2頭、グラスワンダーとスペシャルウィーク
彼らが宝塚記念で国内最強の座を争った二頭であったが、秋の臨戦課程はどちらも最良の物とは言い難かった。
毎日王冠後、調子を落とし何とか有馬記念に使える状態に戻したといった感じのグラスワンダー、夏負けの状態から急激に持ち直し天皇賞、JCと苦しい戦いを連勝して来たスペシャルウィーク。
その舞台には翌年GIパーフェクトを飾るテイエムオペラオー
菊花賞馬ナリタトップロード等の有力馬が名を連ねてはいましたが、いかに臨戦課程が良くないとはいえ、主役の座はグラスワンダー/スペシャルウィークから揺らぐ事は無かった。
ファンの出した答えは1番人気はグラスワンダー、2番人気はスペシャルウィークであった。宝塚記念で叩き付けられた屈辱の3馬身差が鮮烈にファンの脳裏に焼き付いていたのではないだろうか。
余談だが、筆者は彼ら二頭の馬連複に10万円を投じた。それ程に彼らの実力が抜けていると信じた。
彼ら以外の馬が割って入る姿を見たくなかったというのが正直な気持ちであったのだと思う。
そのレースの内容は本当に極端な物となった。
マーク屋の異名を取った的場騎手は、宝塚記念同様にスペシャルウィークをマークする競馬を試みた。
逃げ馬によるハナの奪い合いというのは良く観るが、差し馬による最後方の奪い合いは、このレース以降見たことがない。どうあってもグラスワンダーより後ろに付けるという騎乗はスペシャルウィークの位置を14頭立ての14番手追走という形とさせた。
お互いがお互いを知り、相手だけを意識したレースであった。
後の世紀末覇王テイエムオペラオーも、9億円ホースナリタトップロードも、その時点では的場/武両騎手の眼中には無かったのであろう。相手に先着することが1着となる事を確信したかのような騎乗であった。
2人の名騎手が中山2500mの舞台で散らす事になる。
逃げ馬の不在のレースでありゴーイングスズカが逃げ、ナリタトップロードが2番手に付けるという、超スローペースで流れる先行有利流れであった。
しかしながらスペシャルウィークは最後方をグラスワンダーは11番手を追走する。
そして最終コーナーに差し掛かったとき二頭立てのレースが幕を開けた。
他馬を捲くり一気に先行集団に取り付くグラスワンダー、スペシャルウィークはそのグラスを追いかける。
さながら調教の併せ馬の様に併せて伸びて来た彼らは一気に先頭集団に取り付いた。
最終コーナーを大外で回った上、超スローの流れであった為に他の有力馬が軒並み余力がたっぷりと残っていた。
ナリタトップロードは難なく沈んだものの、内から伸びるテイエムオペラオー、同じく最強世代の優駿ツルマルツヨシ、明らかに内を伸びる二頭の方が脚色が良く見えた。
スペシャルとグラスは届かないか・・・と感じた直後のラスト100mで最強の2頭は再び伸びて来た。
「やはり最後は最強の二頭」
テレビでそのレースを観ていた私の耳に強く残った実況でした。
大外を捲くってきたことなど微塵も感じさせぬ末脚を発揮した2頭は並んだままゴールする。馬体はスペシャルの方が心持ち前にあったように見えた。
武豊騎手はカッツポーズして、的場騎手は肩を落とした。
ウイニングランを行ったスペシャルウィークであったが・・・・
長い長い写真判定の後・・・写真は勝負の結果を映し出す。
4cm
2500m走って僅か4センチの差が2頭の前に写し出されていた。
軍配は・・・再びグラスワンダーの勝利であった。
3着テイエムオペラオーとの差は頭差ながらスローを先行した馬と最後方から追い込んだ馬では内容の差は歴然であるように感じた。
20世紀最後の3強・・・彼らの決戦はこのレースをもって幕を閉じる事と成った。
1999有馬記念全着順
そのレースでスペシャルウィークは引退を決め、ターフには翌年の凱旋門賞を目指すと発表したグラスワンダーのみが残る事に成った。
翌年の凱旋門賞でエルコンドルパサーの2着を超える結果を夢見て、1999年は終わった。